諸塚の自然のスポット【生き残る希少植物群】

【アケボノツツジ】

アケボノツツジは、非常に大型のツツジ科ツツジ属の落葉広葉樹です。標高1000m以上の高い山地の岩場崖地に見られます。高い山のツツジでは一番の早咲きで、4月下旬~5月上旬に開花します。

諸塚山のアケボノツツジ

諸塚山一帯に群生して自生していて、春の山々に彩やかなピンク色の花が咲き乱れる風景は、絶景です。ゴールデンウィークには、この自然を見に九州各地から多くの方々が訪れます。

アケボノツツジの見学者でにぎわう登山道

 

【フクジュソウ】

諸塚村大字七ツ山紋原地区の標高750mの高原にある約1ヘクタールの林の中に自生しています。日本で群生する南限だそうで、早春になると残雪の中、可憐な花が林の一面を埋め尽くします。国の絶滅危惧種に指定されていて、諸塚村の天然記念物になっています。

紋原のフクジュソウフクジュソウは、旧暦の正月ごろ咲くことから、元旦草とも言われますし、花言葉は、なんと「永久の幸福」だそうです!

保護できると株が大きくなります

【ヤブツバキ】

日本の在来の野生種であるヤブツバキは、昔から人の生活と縁の深い木で、幹は堅くて建材に用いられたほか、種子からは食用、薬用などで貴重なツバキ油が採れました。常緑の照葉樹でもあり、早春に美しい赤い花を咲かせることもあってか、信仰の対象にもなったようです。花弁が5枚あるのが特徴で、ヤブツバキを園芸用に品種改良したものがいわゆるツバキです。

可憐に咲くヤブツバキ

全村森林公園「百彩の森づくり」の村・宮崎県諸塚村の山々には、諸塚山が古くから神山であったことや森と共生してきた歴史もあって、種類豊富な多くのヤブツバキがあります。毎年3月にはそのツバキの一輪挿しをしいたけの館21に集め、「諸塚でヤブツバキを鑑る」を開催しています。

山にはいり、野生の大きなツバキを眺めるもよし、一同に集めたツバキの一輪挿しを眺めるもよし。諸塚の山々でちょっと風情のある春の訪れを感じてみませんか!

毎年開催される「諸塚でヤブツバキを鑑る」展

 

【ヤマザクラ】

諸塚の春を彩るサクラは、山に点在するヤマザクラです。天気予報の開花予報は、ソメイヨシノですが、それよりも1週間ほど早い3月中旬から下旬には咲き初めます。
彩やかなうすいピンク色の花が咲き乱れる、美しい風景に出会い、春の活力を感じ、いろんなことを忘れて元気な気持ちを取り戻せます。

早春の山々を彩るヤマザクラ

 

【モロツカウワミズサクラ】

2012年に、バラ科ウワミズザクラ属のウワミズザクラの新種として諸塚村で見つかり、「モロツカウワミズサクラ」と名付けられたことが発表されました。
宮崎市の植物愛好家の中武英則さんが諸塚村で草木の写真を撮っていた時に発見したものだそうです。従来のウワミズサクラは、葉のまわりの「きょ歯」と呼ばれる小さなギザギザの部分がとがっていますが 、新種はとがっていないほか、蜜を出す「蜜腺」と呼ばれる部分の位置が異なっています。

サクラより開花が遅く、5月の中旬になります。

モロツカウワミズサクラ

【ブナの原生林】

諸塚山や黒岳には、ブナの原生林があります。春のうす緑色の芽吹きが広がる森の美しさには目をみはります。この林の中を縫って登山道が開かれていますので、新緑や紅葉をまじかに楽しめます。

黒岳のブナの巨木

【ヤマフジ】

ヤマフジは、諸塚の野山に多く自生していて、4月末から5月にかけての新緑の時期に、ムラサキ色(たまに白色)でヤマを彩ります。 フジと同じ、つる性のマメ科の落葉木です。フジとの違いは、つるがフジは右巻きですが、ヤマフジは左巻き。花の房はヤマフジの方が短く、花の咲くのもヤマフジの方が早いようです。

山に咲くヤマフジの花

【モザイク林相の新緑】

諸塚村は、平地が少ないゆえに昔から山林を活用して生活してきました。そのため、昔から人工林率が高いのですが、「伐ったら植える」、植える場合も単一の樹種を一斉に植えるのではなく、土壌や地形等を考慮し、その土地に応じた樹種を選択するなど、森の恵を持続可能にする工夫をして長い歴史を刻んできました。 戦後の拡大造林期にも、全国的にスギ、ヒノキの一斉林が植えられる中で、針葉樹と広葉樹を7:3の割合で混植する施策をとりました。その結果、諸塚の森全体が、針葉樹とクヌギやナラなどの広葉樹とが混洧する、美しい独特の景観を生み出しています。新緑の時期や、紅葉の秋には、山々がモザイク模様一色に染まります。昭和初期の学者が、これを「モザイク林相」と呼んだのがその謂れです。
村の人々にとって住みやすいだけでなく、動植物にも優しく、林地崩壊を防ぎ、水源涵養にも役立ち、国土保全の優等生となっていて、林業立村の村づくりの成果、森と共生する村民の象徴と言えます。

初夏になると、その山々がまぶしい新緑に包まれます。夏もすぐそこです。

新緑の森と新茶

【シイの花】

シイの木は、暖温帯の常緑広葉樹林、いわゆる照葉樹林の代表です。諸塚に多いのは、スダジイとツブラジイ(コジイ)で、春の新緑の時期には、黄色い花をいっせいに咲かせます。 新緑が本格化すると、鮮やかな緑の中に、立体感のある黄色がモコモコと出てきて、初夏の訪れに躍動感とインパクトを感じさせます。

満開のスダジイの花

【キイチゴ】

初夏は木苺の季節でもあります。写真はモミジイチゴですが、落葉の低木で、4月ごろ花を咲かせて、5月末には黄色い実をいっぱいにつけます。いわゆる黄イチゴです。

野生なのですが、とても甘くてしかも適度な酸味があります。この酸味が野生にしかない味を引き立てます。刺を避けながらいっぱい集めて搾ったジュースは、最高の贅沢です。

野イチゴ

木イチゴ

【ネムノハナ】

合歓(ネム)の木は、マメ科の落葉樹で、諸塚では河川沿いの道路際に良く見られます。葉は細かい羽状複葉で、触るとすぐにしおれてオジギソウによく似ています。梅雨の7月ごろにピンク色の花をつけます。ネムノハナは、日没前に開花して、夜になると葉は閉じて眠るように見えるので「ネムノキ」と言うそうです。花の可憐さから、歌の題材に良く使われています。

『我妹子が 形見の合歓は 花のみに 咲きてけだしく 実にならじかも 』    大伴家持

『象潟や雨に西施がねぶの花』       松尾芭蕉「奥の細道」

ネムノハナ

【キレンゲショウマ】

標高1455メートルの黒岳は村の最高峰です。ここは、貴庁植物の宝庫であり、宮崎県のレッドデータブックに掲載されている植物が26種も生育しています。2010年3月に宮崎県野生動植物保護条例に基づく「重要生息地」に指定されています。

そのなかで、初夏に咲くキレンゲショウマは、九州や四国、紀伊半島など日本でも限られた地域にしか生育していませんが、黒岳山中に日本最大といわれる規模で群生しています。この花は、宮尾登美子氏の小説「天涯の花」の題材にもなっていますが、ユキノシタ科キレンゲショウマ属で、キンポウゲ科のレンゲショウマに似た植物で、この名前が付いたようです。

可憐に咲くキレンゲショウマ

【ヒガンバナ】

彼岸花は、マンジュシャゲ、アカバナなど、別名の多い花です。時期的なものでしょうか、シニビトバナとも言われるそうです。 花と葉の時期が異なり、花の時期には葉がなく、葉の時期には花がありません。

花の咲く時期が短いですが、田んぼの畦や小道の脇に群生して咲き、燃えるような赤が印象的です。

ヒガンバナ

【ソバのハナ】

蕎麦の原産地は東アジアだそうで、朝鮮経由で日本に入ってきたようです。奈良時代には、非常食として蓄えるように天皇の詔(みことのり)が出たという記録もあるようです。 70~80日で収穫できること、除草もいらず、やせた土地や斜面でも栽培できることから、山間地で食糧事情の厳しいところでは貴重な作物でした。

諸塚村でも焼畑農業の時代には、焼畑の後の1年目には蕎麦を蒔いて収穫していたようです。盆明けの8月末から9月初旬に種をまき、11月上旬には収穫できます。10月は蕎麦の花のきれいな季節です。

諸塚村と交流のあるネパールでは、ヒマラヤ地方特有の赤い花の蕎麦があります。

ソバの花

【モザイク林相の紅葉】

諸塚村のモザイク林は、晩秋には、山々が色とりどりの美しい紅葉に包まれます。

環境に優しい諸塚村のモザイク林(紅葉時期)

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